
フォークリフトの安全で効率的な運転には、各部の名称と役割の理解が必須です。
マスト、フォーク、リフトシリンダーなどの基本部品から、リフトレバーやチルトレバーなどの操作装置まで、各機能を知ることで作業精度が向上し、事故防止につながります。
本記事では、JIS規格(日本産業規格)の基準を参考にしながら、主要部品の名称と役割、カウンター式とリーチ式の違い、操作装置の詳細など、現場で役立つ知識をご紹介します。
目次
フォークリフトの主要部品の「名称」と「役割」を一覧で紹介
フォークリフト各部の名称と役割を正しく理解することは、フォークリフトを安全に運転し、効率的な荷役作業を行うためにとても重要です。
ここでは、フォークリフトの主要部品について解説します。点検や操作方法を学ぶ際にも、これらの用語を知っておくことで講習や教育の理解が深まります。
① マスト
フォークを上下に動かすための垂直な構造部分です。リフトシリンダーの作動により、マストが伸縮してフォークが上昇・下降します。
マストの高さや種類によって、最大揚高や積載能力が異なるため、作業現場の天井高や荷物の高さに応じた車両を選定することが重要です。
② バックレスト(ロードバックレスト)
フォークキャリッジ(フォークを取り付けて上下する部分)に取り付けられた格子状の装置で、荷物の落下を防止する役割があります。
フォークに載せた荷物が後方に滑り落ちるのを防ぎ、運転者の安全を確保します。荷役作業中の事故防止に欠かせない安全装置の一つです。
③ フォーク
パレットに積載された荷物を持ち上げる部分です。左右2本のツメで荷物を支え、上下に移動させることで荷役を行います。
フォークの位置や幅は荷物のサイズに応じて調整が必要で、積載荷重の中心とフォークの中心を合わせることで安定した作業が可能になります。
④ ヘッドガード(オーバーヘッドガード)
運転席の上部を覆う屋根のような構造で、荷物の落下から運転者を守る安全装置です。
万が一、荷物が上方から落下した場合でも、運転者への危険を最小限に抑える重要な部分です。定期的な点検で強度を確認することが求められます。
⑤ リフトシリンダー
油圧の動力を利用してマストを上下させる装置です。電動フォークリフトでも、実際の昇降動作は油圧で行われます。
リフトレバーの操作により作動し、フォークの上昇・下降を制御します。
シリンダーの故障は作業効率の低下や事故につながるため、自主検査での点検が不可欠です。
⑥ カウンターウェイト
車体の後部に配置された重りで、フォークで持ち上げた荷物とバランスを取る役割を果たします。
カウンターバランスフォークリフトでは、この負荷のバランスにより車両の安定性が保たれます。
荷重が大きいほど、カウンターウェイトも重く設計されています。
⑦ チルトシリンダー
マストを前後に傾ける(前傾・後傾)ための装置です。チルトレバーで操作し、荷物を水平に保ったり、荷崩れを防いだりする機能があります。
前進時や後進時の安定性向上にも寄与し、安全な走行と荷役を支えます。
⑧ タイヤ(前輪:駆動輪/後輪:操向輪)
フォークリフトのタイヤは、前輪と後輪で役割が異なります。一般的なカウンター式では前輪が駆動輪、後輪が操舵輪となります。
タイヤの種類(ソリッドタイヤ、エアタイヤなど)は、屋内の倉庫や物流センター、屋外の工場構内など、使用場所に応じて選定します。小回りや旋回性能にも影響する重要な部分です。
フォークリフト操作・運転に関わる各部名称
フォークリフトの操作は、走行操作と荷役操作に大きく分けられます。
それぞれに関わる装置やレバー、ペダル類の名称を覚えることで、安全かつ正確な操縦が可能になります。
走行操作に関わる名称(ハンドル・ペダル類)
ステアリングホイール
ステアリングホイール(ハンドル)は、車両の進行方向を制御する装置です。回転させることで、旋回や方角を決定します。
フォークリフトは後輪で操舵するため、通常の車とは異なる動きをする点に注意が必要です。
※リーチフォークリフトなど車種によって操作方法やペダル配置が異なる場合があります。
アクセルペダル
車両の速度を上げるためのペダルです。エンジン式では燃料供給量を、電気式ではモーターへの電力供給を調整します。
作業現場では安全のため、速度制限が設けられることが多く、適切な速度管理が求められます。
ブレーキペダル
車両を減速・停止させるための装置です。エンジン式フォークリフト(トルコン車)の場合、ブレーキペダルのほかに、左側にインチングペダル(半クラッチのような役割とブレーキ機能を兼ねる)が付いており、荷役時の微速調整に使用されます。
荷物を積載している場合は慣性が大きくなるため、早めのブレーキ操作が事故防止につながります。
前後進レバー
前進と後進を切り替えるためのレバーです。ニュートラル(N)、前進(F)、後進(R)の位置があり、停止時にはニュートラルにします。
荷物を積んだ状態では前方視界が遮られるため、後進で運転すること(または誘導者を付ける等)が基準とされており、操作方法の理解が安全運用の鍵となります。
荷役操作に関わる名称(リフト・チルト操作)
リフトレバー
フォークを上下に動かすためのレバーです。レバーを手前に引くとフォークが上昇し、前方に倒すと下降します。
荷物の高さに応じて適切な位置まで上昇させ、地面からの距離を調整することで安定した移動が可能になります。
※レバー操作方向は機種による異なる場合があります。
チルトレバー
マストを前後に傾けるためのレバーです。レバーを手前に引く(バックチルト)とマストが手前に傾き、荷物の落下を防ぎます。前方に倒す(フォワードチルト)と荷物の積み下ろしをスムーズに行えます。
水平を保つことも重要で、運搬中の荷崩れ防止に役立ちます。
運転席まわりのその他の名称(表示・安全装置)
メーター(計器類)
メーターは、速度計、燃料計、バッテリー残量計などの計器類の総称です。車両の運用状態を把握し、異常の早期発見に役立ちます。
特にバッテリー式フォークリフトでは、残量管理が作業効率に直結します。
警告灯
車両に異常が発生した際に点灯するランプです。エンジンの異常、油圧の低下、バッテリーの問題などを知らせます。
警告灯が点灯した場合は直ちに作業を中止し、点検や修理を行うことが必要です。
シートベルト
シートベルトは転倒時の車外放出や下敷き事故を防ぐ基本装備です。
厚労省等の安全資料でも、「シートベルトを装備しているフォークリフトは運転時に着用すること」とされており、万が一の事故から身を守る最も基本的な安全対策です。
ホーン(警音器)
周囲に車両の接近を知らせるための装置です。交差点や見通しの悪い場所、後進時などに鳴らすことで、歩行者や他の作業者との衝突を防ぎます。
安全運転の基本として、適切なタイミングでの使用が求められます。
フォークリフトの各部名称を理解しておくメリット
フォークリフトの各部名称を正しく理解することは、単なる知識の習得にとどまらず、実際の作業現場で多くのメリットをもたらします。
これからご紹介するメリットを知って、資格取得・日々の現場作業に活かしていきましょう。
安全作業につながる=事故防止・点検の精度向上
各部の名称と機能を知ることで、「始業前点検」や「自主検査」の精度が向上します。
異常箇所を正確に特定し、早期に対処できるため、故障による事故や作業中断を防ぎ、さらには安全装置の役割を理解していれば、危険な状況を回避する判断力も養われます。
現場での指示やコミュニケーションが円滑になる
作業現場では、「マストを上げて」「チルトを調整して」といった具体的な指示が飛び交います。
各部名称を共通言語として理解していれば、指示の聞き間違いや作業ミスを減らし、効率的なチームワークが実現します。
特に複数の作業者が関わる物流センターや工場では、正確なコミュニケーションが不可欠です。
資格取得や教育・研修の理解が深まる
フォークリフト運転技能講習では、もちろん各部名称や構造に関する知識が問われます。
事前に名称を覚えておくことで、講習内容の理解がスムーズになり、修了証の取得もスムーズに進みます。
また、実技でも操作方法を素早く習得でき、自信を持って運転できるようになります。
【作業別】フォークリフトの選び方
フォークリフトは作業環境や荷物の種類によっても最適なタイプが異なります。
この章では、作業別に安全性と効率性を考慮し、用途に応じた車両選定の基準やフォークリフト種類をご紹介してきます。
その他種類のフォークリフトについては「フォークリフトの種類と各種必要な資格・免許とは?動力源による分類も紹介」の記事で詳しくご紹介していますので、ご確認ください。
倉庫内作業に適したフォークリフト
※画像はAIで作成したものです。
倉庫内や物流センターでは、狭い通路でも小回りが利く”リーチフォークリフト”が適しています。
バッテリー式の電気フォークリフトなら排気ガスが出ないため、屋内作業でも安心です。
最小旋回半径が小さく、限られたスペースでも効率的なピッキングや運搬が可能です。
屋外作業・工場構内で使うフォークリフト
※画像はAIで作成したものです。
屋外や広い工場構内では、”カウンター式のエンジンフォークリフト”が活躍します。
ディーゼルやガソリンを燃料とし、パワフルな走行が可能です。
段差のある地面や長距離の移動にも対応でき、コンテナの積み下ろしやトラックへの積載作業に適しています。
荷物の種類・重量に応じたフォークリフト
※画像はAIで作成したものです。
積載荷重が1トン未満の軽量物には小型フォークリフト、数トン以上の重量物には”大型のカウンターバランスフォークリフト”が必要です。
パレットのサイズや荷物の形状に応じてフォークの幅や長さを調整できる車両を選ぶことで、安定した荷役が実現します。
また、特殊な荷物にはサイドフォークリフトやウォーキーフォークリフトなど、専用タイプの検討も有効です。
フォークリフトに関する正しい知識・技術を身につけるなら【関東サービス】へ
フォークリフトの資格取得や運転技能の向上を目指すなら、信頼できる教育機関で正確で実用的なフォークリフト知識を身につけられる講習受講が重要です。
関東サービスでは、経験豊富な指導員による丁寧な教育と、実践的な技能訓練を提供しています。
「フォークリフトの各部名称を理解して安全に作業したい」「資格取得を確実に目指したい」という方は、関東サービスの制度を活用して、安全で成長できるフォークリフトオペレーターを目指しましょう。
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