フォークリフト作業時に事故を防止するための安全対策、社内での安全教育とは_サムネイルの画像

この記事はこんな方におすすめ

  • フォークリフト事故防止策を考えている方
  • 安全対策・安全教育を考えている企業担当者
  • 安心安全なフォークリフト作業を目指す方。

フォークリフトは物流や製造業の現場で欠かせない存在ですが、その操作には常に危険が伴います

多くの企業では安全対策を講じていますが、未だに事故件数は依然として高い水準にあります。

この記事では、フォークリフト作業時における具体的な安全対策と効果的な社内教育方法について詳しく解説します。

これらを理解し実践することで、職場環境の改善と従業員の安心感向上につながります。

目次

まだまだ対策が必要!フォークリフト事故の発生件数

フォークリフト作業における安全対策は、依然として多くの企業で重要な課題となっています。

労働災害発生状況の推移のグラフ画像

※出典:3.労働災害発生状況の推移|一般社団法人日本産業車両協会

厚生労働省労働災害統計によると、フォークリフト事故での死亡者数は年々減少してきてはいるものの、死傷者数は徐々に増え続けていることがわかり、未だに多くの安全対策の徹底が求められています。

社内での安全意識向上を図るためには、定期的な研修だけではなく、日常的なコミュニケーションも欠かせません。

一人ひとりが自分事として捉えられることはもちろん、適切な運用管理や、新たな技術による安全装置の導入など、多角的なアプローチが必要です。

フォークリフト事故の主な原因と事例

ここでは、フォークリフト事故の主な原因と実際に過去どのような事故があったのかもご紹介し、日々の安全対策への意識向上につながればと思います。

フォークリフト事故が起きてしまう原因

死角による作業員との衝突

フォークリフト運転時には、構造上の死角が多く、特に荷物を積載した状態では前方の視認性が大きく低下します。

この視覚不良の問題は死亡事故に最も直結しやすく、特に後進や曲がり角、出入口での接触は重大事故につながります。現場のレイアウトや運転マナーにも強く関係します。

スピードの出しすぎ・急操作による転倒

フォークリフトは構造上重心が高く、急旋回や急停止によって転倒事故を引き起こす可能性があります。

特に荷物の偏りや積載状態によってはバランスを崩しやすく、死亡事故の要因としても多く挙げられています。

作業エリアの導線設計が不十分

作業現場における事故の多くは、作業者(歩行者)とフォークリフトの導線が交差することに起因します。

通路設置の見直し作業者と車両の動線分離、誘導システムの導入などの対応を行わない限りは、作業者とフォークリフトが同じ空間にいること自体が事故発生リスクを上げます。

ブレーキ・警報音などの点検不足による装置不備

ブレーキや警報音の不具合は、日常点検の不足に起因する重大な安全リスクです。

多忙などの理由で、実際に整備を怠ったことによる接触・転落事故の事例も多く、運転者の命だけでなく周囲の作業員にも危険が及びます。

フォークリフト事故の事例をご紹介

事例1「前方が見えぬ高積載で走行し歩行者に接触、負傷させた」

事例1「前方が見えぬ高積載で走行し歩行者に接触、負傷させた」の画像出典:職場のあんぜんサイト|労働災害事例|厚生労働省

事故概要:フォークリフトでパレットを移動中、作業者は前方が見えなくなるほど高く積載した状態で前進しており、歩行中の被災者に気づかず後方から接触。パレットの最下段が被災者の両足首に当たり、負傷。

事例2「坂道を下るフォークリフトのハンドル操作により転倒した

事例2「坂道を下るフォークリフトのハンドル操作により転倒した」の画像出典:職場のあんぜんサイト|労働災害事例|厚生労働省

事故概要:工場内で荷を積まずにフォークリフトを運転し坂道を下っていたところ、下り坂の先に大型トラックが停車していたため回避しようとハンドルを切ったが、切りすぎてしまい勢いでフォークリフトが転倒し、運転者が骨折。

事例3「マストクロスメンバーとヘッドガードに頭部を挟まれた」

事例3「マストクロスメンバーとヘッドガードに頭部を挟まれた」の画像出典:職場のあんぜんサイト|労働災害事例|厚生労働省

事故概要:被災者はトラックの荷台の積荷をパレットに載せ終えた後、地上に降りず荷台からフォークリフトのマストと車体の間を通って運転席に移動しようとした際、誤って操作レバーに触れ、後傾したマストに頭部を挟まれたと推定。

事例4「曲り角で転倒し、運転者が死亡」

事例4「曲り角で転倒し、運転者が死亡」の画像出典:職場のあんぜんサイト|労働災害事例|厚生労働省

事故概要:工事現場への機材搬送作業中、作業者が本社からフォークリフトを運転し資材置き場へ向かい、右折時にスリップし転倒。作業者は投げ出されヘッドガードの下敷きとなり死亡。車両は整備不良で、法定検査も未実施だった。

重要!フォークリフト作業時の安全対策8選

最も重視すべき3つの安全対策

安全対策の中でも最も現場で重視すべき対策をご紹介します。

一つでも疎かにすると作業全体が機能しなくなる恐れがあります。

そのため、これら3つの対策に関しては軽視することなく現場で取り入れることが不可欠です。

フォークリフト作業時の経路・導線設計

作業ルートが整備されていないことが原因で、多くのフォークリフトによる事故が過去発生しました。

工場や倉庫では、フォークリフトと人の通る道を分け、交差点にミラーや停止線を設置して、接触を防ぐ工夫が大切です。

また、下記図の様に作業ルートを取り決めや、誘導する人の配置、社内での細かなルールを決定し、それらを遵守することも事故を防ぐのに効果的です。

フォークリフト作業ルート図解画像※出典:フォークリフトの安全な作業のために|豊田労働基準監督署

フォークリフトの速度制限設定(5km/hなど)

フォークリフトでは、スピードを出しすぎると、ハンドル操作を誤ったり、転倒する危険が多くあります。

カーブや見通しの悪い場所では、あらかじめ「5km/hまで」などの速度制限を決めておくことが安全に繋がります。

運転者に対しては、事故の事例や教育用の動画を使って「なぜ速度制限が大切なのか」を理解させることが、危険の防止に効果的です。

稼働前点検のチェックリスト化と記録管理

フォークリフト稼働前には、点検をしないと故障や事故に繋がることがあります。

厚生労働省のフォークリフト安全対策説明会資料でも、作業開始前点検や定期検査の義務が定められており、安全対策の基本でもあります。

毎日決まったチェック項目をリスト化し、点検した内容を記録しておくことが重要です。

厚生労働省が公開しているフォークリフトの検査指針も確認しながら、全作業員が抜け漏れのなく点検ができる仕組みを構築していきましょう。

ヒューマンエラーを防止する5つの安全対策

主に、ヒューマンエラーが起因となるフォークリフト作業時の事故は、より多角的なアプローチで事故リスクを最小限に抑える努力が不可欠となります。

ここでは、多くの事故を未然に防いできた、効果的なヒューマンエラー防止策をご紹介します。

ヒヤリハット報告実施とマニュアル作成・更新

過去の“ヒヤリ”体験(事故寸前の状況)を共有・記録することで、他の作業者も同じミスを避けられるようになります。

マニュアルが古いままだと現場の変化に対応できないため、常に最新の注意点を反映することで再発防止に繋がります。

フォークリフト専用通路の色分けと床面表示

一目で見てわかる導線表示により、「ここは通っていい場所かどうか」の自己判断ミスを防げます。

作業に集中していても視覚的に警告が入るため、接触事故を減らす効果があります。

走行中のバック走行禁止エリアの設定

バック走行時は死角が増え、注意力が落ちるため、あらかじめ”バック禁止エリア”を設けておくことで、判断ミスを防ぐルールの一つです。

指差し確認の習慣化

「見る・指す・声に出す」動作を習慣化することで、特に単純作業などでの確認漏れや思い込みによる操作ミスを防ぎます。

大きな事故、人命に関わる業界(鉄道業界・医療業界など)では積極的に採用されています。

乗降時の3点支持ルールの徹底

「急いで飛び乗る」「片手だけで降りる」などのクセや油断による転落は、少なくない事故の一つです。

体を安定させる動作をルール化することで、反射的な危険動作を抑制できます。

フォークリフトオペレーターが必ず受けるべき「安全教育」と実施する際のポイント

前述した通り、フォークリフトは便利な一方で、操作ミスや不注意による労働災害が後を絶ちません。

労働安全衛生法(第59条 第60条)においても、事業者は労働者に対し、安全衛生に関する必要な教育を継続的に行うことが義務付けられています。(出典:労働安全衛生法)

この記事では、安全教育の内容と、実施時に押さえるべきポイントを、実例や厚生労働省の方針をもとに解説します。

フォークリフト作業の“危険予知”を重視した実践型教育

フォークリフトの運転作業中に発生する労働災害は、多くが「予測不足」に起因します。

作業者自身が現場で起こりうる事故や災害の可能性を想定し、事前に対策を考える“危険予知訓練(KY活動)”の導入は、安全教育における重要な柱です。


KY活動の画像※出典:KY活動|厚生労働省

実務に即した教育は、従業員の安全意識を向上させ、全員参加型のワークショップやディスカッション形式によってコミュニケーション力も強化されます。

“安全”を習慣化。定期的な繰り返し教育と「見える化」の工夫

一度の講習だけでは安全意識は定着しません。

定期的な繰り返し教育は、安全意識を自然と身につけさせます。

さらに「見える化」の工夫によって、日頃から現場での危険箇所や注意点を視覚的、直感的に理解でき、より安全な作業環境が構築できます。

「見える」安全活動コンクール優良事例選考審査会の講評の画像※出典:「見える」安全活動コンクール優良事例選考審査会の講評|あんぜんプロジェクト|厚生労働省

こちらでは、様々な業種、企業が創意工夫しながら「見える化」環境づくりに注力していることがわかります。

フォークリフト現場で求められる教育担当者の視点

教育担当者には、現場の状況や作業者の行動を分析し、安全対策を実務に反映できる視点が求められます。

労働安全衛生規則第35条に記載の教育内容はもちろん、フォークリフト事故の原因は多岐にわたるため、実際の事業所に合わせたカリキュラムの構築も別途必要です。

従業員にとって“自分ごと”として捉えられる教育内容を作成・実施することが、効果的な安全教育への鍵となるでしょう。

まとめ

フォークリフト事故は「起きてからの対策」では遅く、導線整備や点検、継続教育を日々徹底し、全員が安全文化を共有することで、はじめて職場の安心と生産性が守られます。

今日の安全対策への一歩が、明日の無事故・安全作業 に繋がります。今こそ自社の対策を見直し、行動に移していきましょう。

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